三陸の夏祭り

 梅雨前線が北進南進し,安定しない日々ですが,少しずつ猛暑の夏が近づいて来ています。
 そろそろ夏祭りが開催されます。
 各市町村等のウェブページから,夏まつりなどのイベントを調べてみました。
 新しい情報が入りましたら,随時更新したいと思います。

市町村 期日 祭りの名前 掲載ページ(リンク)
洋野町 7月14日(日) たねいちウニまつり たねいちウニまつりのページ
洋野町 毎年8月18日 北奥羽ナニャドヤラ大会 第24回北奥羽ナニャドヤラ大会のページ
久慈市 7月28日(日) 久慈みなと・さかなまつり 久慈市観光物産協会のページ(最新情報)
野田村 8月23日(金)~24日(日) 愛宕神社例大祭『野田まつり』 野田村観光協会ページの催事・イベント
宮古市 未確認(昨年は7月28,29日(土日),8月14日(火)) みやこ夏まつり
釜石市 7月14日(日) 海の港まつり 釜石観光物産協会のページ
住田町 7月27日(土) 住田町夏まつり 住田町の観光・イベントガイドのページ
大船渡市 8月上旬開催予定 三陸・大船渡夏まつり 大船渡市の観光・イベントスケジュールのページ
陸前高田市 未確認(8月上旬開催) うごく七夕まつり(高田町)・けんか七夕まつり(気仙町) 陸前高田市観光物産協会のページ

 普代村,田野畑村,岩泉町,山田町,大槌町については,情報が見つかりませんでした。ごめんなさい。

たねいちウニまつり(7月14日)

釜石夏の港まつり(7月14日)

Estudio (月光)

F.Sor作曲「Estudio(月光)」の楽譜

 作曲家フェルナンド・ソルは,日本でいえば江戸時代の,オペラや交響曲,室内楽曲などの作曲家として,また,ギターの演奏家として当時全欧に知られていました。
 多くのギター練習曲を作曲し,特に作品35の22番は,月光という副題が付いている有名な曲です。
 釜石南高等学校2年生の時に,ある文化系のクラブ長をやっていながら,ふいにギター同好会に入部しました。
 部室にあったギターとカルカッシギター教則本で一生懸命練習しました。そして,無謀にもその年の文化祭で同じクラスの男子生徒と一緒にこの曲を二重奏しました。

釜石湾上の満月

 6月23日日曜日は,夏至直後の満月の日でした。
 釜石湾から上る満月を撮影しようと思いましたが,月の出の方角は湾上ではなく,尾崎半島の向こうから出てきました。
 夏至の時期には,太陽は一番北寄りの方角がら出てきますが,満月は太陽とは反対に一番南寄りの方角から出てきます。
 日が長い時は月が短く,日が短い時は月は長いということです。

 翌日の24日に,唐丹湾で撮影していると,海面にきれいな「月の道」が映し出されました。
 内陸部の人たちにはお目にかかれない珍しい現象です。

唐丹湾の月の道

鵜の巣断崖

 先の休日,天気が良かったので田野畑村の鵜の巣断崖に行ってきました。

さわやかな初夏の遊歩道

 鵜の巣断崖は,高さが150mもあり,中腹にウミウの巣があることから名付けられたそうです。
 断崖の展望台からは周辺の隆起海岸の連なりと,その足下に打ち寄せる雄大な太平洋の白波を展望することができます。
 鵜の巣断崖には,田野畑村の南端の国道45号線の旧道を通り,槙木沢で海岸方面に向かいます。
 交差点から2.5Kmぐらいのところに駐車場があり,松の大木に囲まれた自然美を見ながら20分ぐらい歩くと展望台に着きます。
 駐車場からは,北側に進む遊歩道があり,断崖下の海岸を散策することができます。
 (駐車場の案内板より)
 宮古以北の断崖は,地盤の隆起により発達した海岸段丘で,陸中海岸国立公園の一部ですが,リアス海岸ではありませんのでご注意を…。

北側の断崖

太平洋

南側の断崖

道の駅「いわいずみ」
 盛岡から鵜の巣断崖までは,岩泉経由の国道455号線小本街道を通ります。
 岩泉の町を過ぎて途中に「道の駅いわいずみ」があります。
 岩泉町は牧畜が盛んで,岩泉牛乳や岩泉ヨーグルトが県内あちこちのスーパーでも販売されています。
 今回は,短角牛コロッケと黒豚ミンチカツをみやげに買いました。

道の駅「いわいずみ」

コロッケとミンチカツ

まぼろしの「たのはたバーガー」
 鵜の巣断崖から国道45号線を北上し,田野畑村役場に向かう途中に思惟大橋があります。
 思惟大橋は,「橋は物や人を渡すばかりでなく,心も運ぶもの」であり,近くにある思惟の森にちなみ,心を渡すという意味を込めて名前が付けられました(展望台の案内板より)。
 橋のたもとに「道の駅たのはたパーク思惟大橋」があります。そのど真ん中に「思惟大橋レストハウス」がありますが,運悪く閉まっていました(金土日の昼時間の営業のようですが)。
 入口のガラス戸に「たのはたバーガー」のポスターが貼られてあり,鮭フライ,あいがもバーグ,あいがもソテーの3種類がありますが,いつか食べてみたいものです。
 産直プラザ思惟大橋では,アイガモチャーシューメンをいただきました。

思惟大橋

たのはたバーガーのポスター

復活した田老かりんとう
 国道45号線を南下すると,田老の町(被災しました)の手前に道の駅「たろう」があります。
 産直「やませの丘」に入ると,久しぶりに元祖田老名物「田老かりんとう」が売ってあり,「宮古の塩かりんとう」と一緒に買いました。
 このかりんとうは,以前連続して全国菓子大博覧会の金賞や会長賞を受賞した菓子で,被災前は田老の町に店舗があり,通るたびに買い求めていたものでした。震災で,店舗も工場もなくなり,しばらく休止していましたが,3月に復活していました。甘みを抑えたおいしいかりんとうです。

道の駅「たろう」と産直「やませの丘」

田中菓子補のかりんとう(左)と宮古の塩かりんとう

 海岸が輝く夏になりました。きれいな景色や,おいしいものがいっぱいあります。
 皆さんも沿岸部にお越しください。

道の駅情報はこちら
国土交通省東北地方整備局のページ→http://www.thr.mlit.go.jp/road/koutsu/roadstation/iwate/

春の海2-弁天島海岸の思い出

弁天島(左)と弁天島海岸(奥にもう一つ砂浜がある)

弁天島から見た奥の砂浜(キャンプした所)

 弁天島海岸は,大槌町の吉里吉里半島の北側にある砂浜です。
 箱崎半島の千畳敷(春の海-御箱崎の千畳敷(3月31日掲載))と同じ花崗岩質の海岸で,岩でできた弁天島を挟んで左右に砂浜があります(砂は,花崗岩が風化したものです)。
 干潮の時は島と浜がつながって歩いて行けるようになりますが,満潮になると島にも奥の砂浜にも行けなくなります。
 後背地の山も花崗岩でできており,沖の海底にも花崗岩が続いています。水中めがねで海底を見ると沈没船のように見えるところもあり,驚いた記憶があります。

津波の跡の残る弁天島(後ろ海は船越湾)

 弁天島は,2年前の震災時には,てっぺんに生えていた大きな松の木の半分くらいまで津波が来たようで,漁具が枝に引っかかったままになっています。木々や草花が枯れ,上部に積もっていた土も流されて,岩だけの小さな島になってしまいました。
 きれいだった砂浜も,流木や壊れた小舟がまだ残ったままになっています。
 昔のように海水浴ができるまでは,かなり時間がかかりそうです。

弁天島海岸の思い出
 この浜は,中学校1年生の時にクラスの夏の遠足で来たのが最初で,その後も何度か友人と海水浴に来たところです。岩手大学に就職してからも,同僚とキャンプに来たことがあります。

 一番の思い出は,高校2年生の夏休みに中学からの友人2人とキャンプに来たことです。
 国鉄山田線の吉里吉里駅からは徒歩30分ぐらいかかります。昼前に到着し,おにぎりを食べたり,泳いだり,走ったり,学校の話をしたりして,夕方まで楽しく過ごし,奥の浜にテントを張りました。
 しかし,夜になって天気が急変し,激しい雨が降り出しました。雨漏りや浸水をよけながら一睡もできないまま明け方になり,雨が小降りになったころを見計らって撤退しました。
 一番列車で釜石に戻り,友人宅でテントを洗って物干し竿に広げ,乾かしました。その日は,逆に洗濯日和の快晴でした。
 眠くなったので友人と分かれて家に帰り,荷物を調べると,英語の教科書は赤インクがにじみ,「夏休みの友」も悲惨な状態でした。その夏もまた,宿題をまともに提出することはできませんでした。

「遠い海の記憶」
 青い海を見ながら風を受けると,いつも思い出す歌があります。ちょうど40年前の夏に放送していた少年ドラマシリーズ「つぶやき岩の秘密」のテーマソング(石川セリの歌った「遠い海の記憶」)です。
 この少年ドラマシリーズは,1972年1月から始まり,おもしろい作品がたくさん放送されました。第1作が「タイムトラベラー」で,筒井康隆原作の「時をかける少女」をドラマ化したものです。この作品は,その後,何度も映画化やアニメ化されています。

原作本
(新潮少年文庫,
1972年発行)

 1973年7月に放送された「つぶやき岩の秘密」は,新田次郎の原作で,2歳の時にある事故(事件)で両親を失った少年が,小学6年生から中学1年生にかけて体験する海での出来事の話です。
 つぶやき岩は,耳を当てると波の音が母親のつぶやきのように聞こえる不思議な岩で,ある事件の鍵を握っている岩でした。
 祖父母など周囲の大人達に見守られながら,その事件を少年一人で解決することで,ようやく両親の死を受け入れられ,少し新しくなった自分を感じるようになったというストーリーでした。
 海の映像がとてもきれいで,心に残っているドラマです。

 「遠い海の記憶」は,曲は,スローテンポのボサノバのリズムで,思春期独特のけだるさを感じますが,サビの部分では「今だ,見つめておけ」と命令形になり,自分に言い聞かせるような大人びた力強さも感じ,このドラマにふさわしい歌になっています。

 大人になった今(まだなり切れていないのかも知れませんが),あのころ見つめていたはずのふるさとの本当の姿とは何なのだろう,あの輝く青い海が私に教えてくれたものは何だったのだろうと,この歌を聴きながらいつも思います。

春の海-御箱崎の千畳敷

 3月30日の土曜日,天気が良かったので,前から行ってみたいと思っていた御箱崎(おはこざき,箱崎半島のこと)の千畳敷に遠足に行って来ました。
 千畳敷までは,根浜海岸から途中の大沢駐車場まで車で20分ほど,そこから徒歩で尾崎半島の峰伝いの道を約40分ほど進むと岩場への降り口につきます。

外洋の荒々しく砕ける白波(左奥は三貫島)

 降り口の案内板には,このように書かれてあります。

御箱崎半島南面の三貫島と対峙する千畳敷は,花崗岩の巨大な奇岩怪岩が累々と連なる景観を呈している。太平洋を眼前にして豪壮無辺まさに海の醍醐味を満足させてくれる陸中海岸国立公園を代表する絶景の地である。なお,高波・強風の時は危険なので,絶対に降りないようにしてください。

穏やかな潮だまりに映る白い岩と空(左側の崖が自然が作った階段)

 高波・強風の時でなくても,高所恐怖症の人は降りられません。
 降り口から岩場までは崖伝いになっており,簡易な遊歩道(階段)が作られていますが,途中から花崗岩の節理による天然の階段を降りることになります。
 遊歩道が途切れ天然の階段になった時,「えー!うそー!!」と発してしまいました。一時やめようとも思いましたが,ここまで来たからにはと意を決し,「天然の階段」を尻をつきつつ降りました。

ストロマトライトか,酸素の泡が発生しています

 
 千畳敷は,案内板のとおり大小さまざまな形をした奇岩怪岩でいっぱいでした。アクアマリン色の外洋と荒々しく砕ける白波,穏やかな春の日差しを受けた潮だまりに映る白い岩影と青い空,…いろいろと堪能できました。
 行き帰りの徒歩,天然の階段の上り下りも,心地よい疲労感が残りました。

花崗岩

 花崗岩は,マグマが地下深部でゆっくり冷え固まってできた深成岩で,粒の大きい結晶の塊です。形成の過程で水の関与が必要といわれています。花崗岩が風化すると結晶同士のつながりが弱くなり,砂状になります。根浜海岸や浪板海岸,高田松原海岸などの砂浜は,近辺の花崗岩が風化し,川の流れや海の波によって運ばれてできたものではないでしょうか。

 千畳敷の奇岩や砂浜は,水の惑星「地球」でしか見られない景色かも知れません。