三陸海域の水産業と海洋研究集会が開催されました

1月28日(金)午後、三陸水産研究センター1階セミナー室にて「三陸沿岸における磯根資源漁場の持続的利用を目指して」と題して、標記海洋研究集会が開催されました。
セミナー室での開催とは言ってもコロナ感染拡大を受けて、Webによる開催となりました。プログラムは下記ファイルのとおりです。
第8回 三陸海域の水産業と海洋研究集会
個人的には以前から存じ上げている、水産研究・教育機構所属の村岡大祐氏と高見秀輝氏のお二方の講演が楽しみで、拝聴させていただきました。
村岡さんの講演「三陸南部沿岸磯根環境の近年の動態」では、宮城県牡鹿半島のアラメ群落を対象に調査を実施した、岩礁藻場の変動について説明がありました。いわゆる磯焼けが近年顕著に進んでいる状況に危機感を覚えました。
続いて高見さんの講演「エゾアワビの資源動態と海洋環境」では、エゾアワビ漁獲量の増減について説明がありました。中でも特に、冬季から春先の高水温は、当歳貝(子ども)にとっては生残率向上につながる一方、成貝(大人)では餌料環境の悪化による成長低下を招くことから両者にとって相反する影響を及ぼす、低水温ならば逆という説明に驚き、アワビも微妙な海水温のバランスで成り立っていることを知りました。
三陸の磯根漁場復活に向けた取り組みについての部では、県の取り組みとして、ハードとソフトの対策を組み合わせた漁場造成計画の紹介があり、ウニを除去した核藻場となる漁場をブロックで造成(ハード対策)し、流れの下手側の漁場のウニの資源量をコントロール(ソフト対)して、核藻場からの種の供給により海藻を増やそうとする試みの紹介がありました。また、重茂漁協とヒロ資源管理研究所からは、現場サイドとして潜水作業を活用した藻場造成の実証試験の報告がありました。うまくいった部分とそうでない部分があり、ウニの密度や移動を人為的にコントロールする難しさを感じると共に、サケやサンマだけでなくウニやアワビも継続的に資源確保していくことの難しさを学ぶことが出来た研究集会でした。