礼ヶ口の男滝と女滝

Z字形の礼ヶ口沢(日高寺は中央左寄り,男滝はZのど真ん中あたり)

三角山とおむすびコロリンの続き)
礼ヶ口のさらに奥には,男滝(おだき)女滝(めだき)という小さな滝がありました。
近所の子らとハイキングに行った三角山でおにぎりを食べたあと,滝に行ったように覚えていますが,滝は一つしか記憶にありません。
その滝は,三角山から沢沿いにある山道を10分ほど歩いたところにあり,直径2,3メートルの池のようなところに子供の背丈ほどから沢水が流れ落ちていました。
滝の岩陰には,仏像みたいなものがあったような気がします。これが女滝だと思っていました。
中学生になって,これより大きいであろう男滝を探しにさらに奥に行ってみたことがありましたが,見つけられませんでした。

20年ぐらい前にも探しに来たことがあり,三角山は確認していましたが,少し奥には砂防ダムが出来ていてすっかり様子が変わり,滝は見つけられませんでした。

先日,花の写真を撮りに来たときに,たまたま年配の女性が歩いていたので男滝と女滝について聞いてみたら,いろいろと話をしてくれました。

「昔は子供達の遊ぶところがなくて,こんな所まで来て遊んでました。」
(来ました。来ました。)
「男滝は,ここからしばらく上がったところにあったのだけれども,砂防ダムが出来てから誰も行く人はいません。」(男滝はまだあるんだろうか。)
「砂防ダムが出来るときに,男滝にあった石像をここの『さんかく山』に持ってきました。山の中腹にあります。」
(この山は,やはり「三角山」って呼ぶんだ。)
「お寺のおばあさんが,元気なときは毎朝滝に行って拝んでいたものでした。」
(えー,すごい。)
「滝のほとりにサクラの木があって,東屋もあったのですが,今は荒れてしまいました。」(サクラの木がキーポイント)
「女滝もありました。ここから男滝までと同じくらい歩いたところにあるはずです。」
(女滝が上なんだ。)

 お礼を言って分かれ,三角山に行きました。

右手前が男滝にあった石像(御神体?)

三角山の中腹に石碑などが置かれており,その右側に石像のような古いものがありました。裏には「日高寺開山日道代 昭和三十三年感得㫖寄贈」と彫られていました。

 山の周辺をよく見ると,「霊場 三覚山/指定 礼ヶ口遺跡」と彫られた石標がありました。山の名前は「三角山」ではなく,「三覚山」だったのでした。

意を決して,男滝・女滝を探しに,山に入ってみました。
砂防ダムを過ぎ,しばらく奥に進むと,薄ピンク色の八重の花が咲いている桜の木があり,沢に降りたら2段になっている小さな滝がありました。
これです!これが女滝と思っていた滝です。
これが男滝だとすると,女滝はどんなだろうか。

さらに沢を上がってみました。
そして,さらに沢を上がってみました。
しばらく上がって行くと,落差2メートルぐらいの,なだらかな流れの滝が現れました。
上にはもう滝のようなものがないので,これが女滝だと確信しました。
大小の岩や流木が転がっていますが,昔はどうだったのだろう。
ウグイスやカッコーの声のする静かな山でした。

男滝と思われる滝

女滝と思われる滝

 

千丈ヶ滝

千丈ヶ滝 釜石の滝第3弾です。
千丈ヶ滝(せんじょうがたき)については11月20日に一度掲載しましたが,色々調べてみると千丈ヶ滝の「本体」に到達していないことが分かり,掲載を取りやめていました。

千丈ヶ滝全景(合成)

千丈ヶ滝の全景(3枚の写真を合成)

何度か挑戦しましたが,11月20日掲載の写真「千丈ヶ滝8」の岩場を越えなければならないようです。
この岩場を乗り越え,枯葉に覆われた急斜面を下って沢に近づくと,千丈ヶ滝に向かうように作られた道が現れました。杭やロープや梯子に沿って道なりに進むと,高い岩に囲まれたところに着き,ようやく「御本尊」を拝むことができました。

滝は,2段になっているようです。かなり高い所から落ちており,空を見上げる格好になります。1枚では全景が撮れないため,3枚に分けて撮影し合成してみました。上部は小さく見えてしまいますが,かなりの大きさです。この岩の上には,祠があるらしい。

帰路は,沢の左岸の山道を下ってみましたが,急斜面を,手足の四輪駆動で這い上がったり滑り降りることもなく,楽に通れることが分かりました。
片道,30分程度です。

11月20日の記事

鳥が沢隧道

鳥が沢隧道

千丈ヶ滝(せんじょうがたき)は,釜石サテライトのある釜石市教育センターの北側の山すそにある県道242号(旧国道54号線)を宮古方面に行き,鳥ヶ沢隧道をくぐって,女遊部という地区で水海川上流に沿って西に向かい,4kmほど行った先にあります。
小学校や中学校時代によく遠足に行ったところで,滝の手前に広場があり,カレーライスなどを作って楽しみました。
今年7月に一度行ってみましたが,昔の徒歩での道なりと車で通る今の道なりではだいぶ様子が異なり,滝まではたどり着けませんでした。

千丈ヶ滝1

千丈ヶ滝1

先日の土曜日に意を決して行ってみました。かなりの悪路で,車の腹に砂利や土がこすれ,ゴツゴツ,ジャリジャリという音が結構しました。4kmごろで川と道が分かれたので,車を降りて川沿いを行くと,すぐに滝が現れました。これが,中学生の時に見た「千丈ヶ滝」です(千丈ヶ滝1)。
遠足の時は,ここまで来てあとは広場で遊びました。

 

千丈ヶ滝2

千丈ヶ滝2

 

そこで,今日は行けるところまで行くことにします。
左手頭上に鳥居と大きな岩がありました(千丈ヶ滝2)。
岩の横を10mほど登り,山道を歩くとまた滝があります(千丈ヶ滝3)。

千丈ヶ滝3

千丈ヶ滝3

 

 

千丈ヶ滝4

千丈ヶ滝4

沢を右に渡り,さらに登ると,また滝があり,その右上に大きな岩がありました(千丈ヶ滝4)。

 

千丈ヶ滝5

千丈ヶ滝5

 

岩の右側の山道を5mほど登って下を見るとまた滝です(千丈ヶ滝5)。

千丈ヶ滝6

千丈ヶ滝6

 

沢は,さらに上に続きます(千丈ヶ滝6)。

千丈ヶ滝7

千丈ヶ滝7

千丈ヶ滝8

千丈ヶ滝8

沢とは少し離れてきましたが, さらに上があります(千丈ヶ滝7の中央)。

 

 

もうこれ以上は,斜面がきつくて登れません(千丈ヶ滝8)。
この上が犬頭山(853m)の頂上です。

 

鳥が沢隧道

鳥が沢隧道のある県道は,もともと国道45号線で,以前は路線バスが通るなど,遠野や大槌,山田,宮古など各地を結ぶ主要な道路でした。昭和45年岩手国体の開催に合わせて国道45号線が整備され,現在の市役所側に付け替えになったので県道に降格になりました。照明も暗く,内壁も掘り崩したままの状態で,徒歩で渡るには勇気がいります。

中学校の遠足の時,このトンネルを通る時は後ろを振り返ってはいけないといううわさがあると,女子生徒が言うので,誰も後ろを見ないようにして通りました。こんなことがあって,心配事がある時に,これに似た薄暗いトンネルの中にいて,どうしても後ろを振り返りたくなる夢を見ることがあります。

 

大畑の滝(不動の滝)

秋の不動滝

秋の不動滝

 釜石の大畑に「不動の滝」があります。
 遠野方面から国道283号線を東に進み,老人福祉センター「滝の家」と甲子子育て支援センターの入口看板から右折して,不動橋を渡ってすぐの所にあり,滝に向かう遊歩道とセンター方面の上り坂とに道が分かれます。国道からの入口もわかりにくいので,慣れないうちはよく通り過ぎてしまいました。

 20年ほど前に台風による大雨で滝が崩落したと思っていましたが,大きな崩壊ではなかったみたいで,久しぶりに来てみると(かなり迷いましたが),以前と同じように残っていました。「名勝不動の滝」の石碑は,昭和62年3月建立となっていますので,たぶんこの台風のあとに護岸など整備されたのではないでしょうか。

夏の不動滝

夏の不動滝

 小学校も高学年になると活動範囲が広くなり,夏場に,近所の子ら(釜石製鐵所の社宅に住んでいた)と遊びに来たものでした。当時は護岸もされていなかったので,滝つぼの2段目が今よりも広くなっており,一緒に行った子の一人が急に服を脱ぎだし,人目もはばかることなく,すっぽんぽんで泳ぎ出しました。無邪気なころでした。

 近所の子らは,親がほかの製鐵所に転勤したため,みんな名古屋や九州などに転校して行きました。残された者も,学年が進むにつれて,外の世界を意識するようになりました。

 

 滝の上は,大分前から「福祉の森」という公園になっており,春は桜,秋は紅葉と,家族連れで遊びに来る場所でした。

福祉の森(入口)

福祉の森(入口)

福祉の森(桜の木)

福祉の森の桜の木

福祉の森(紅葉)

福祉の森の紅葉

福祉の森(遊具のある広場)

遊具のある広場

 森の入口に戻り,木々をよく見ると,赤や青のテープが巻かれ,杭も打ち込まれていました。

福祉の森(テープの巻かれた木々)

テープの巻かれた木々


 近くには,こんな表示もありました。

釜石花巻道路標示(大畑)

釜石花巻道路の標示

 ここ一帯には,釜石花巻道路の橋脚が立つようです。幼なじみがいなくなり,ふるさとの景色が変わってゆくことは,とても残念なことです。
 果たして,滝は大丈夫でしょうか。

近くで見つけた大きなクモの巣

近くで見つけた大きなクモの巣

紅葉の滝

 釜石に「復興釜石新聞」があります。毎週水曜日と土曜日,市内各戸に無料で配られます。釜石市内のさまざまな出来事や復興関連の記事,文化やスポーツに関する記事が掲載されています。また,町内会長やシーウェーブス関係者のうんちくも掲載されており,ためになる新聞です。

中でも気に入っているのが,「かまいし便り」という写真コーナーで,藤枝さんというプロカメラマンが美しい写真とコメントを寄せています。
藤枝さんは,以前から釜石の写真を撮影していて,東日本大震災の際にも被害のありさまを残し,写真集を出版しています。構図や色使いなど,さすがプロと思わせるすばらしい作品ばかりで,敬意を表さざるを得ません。撮影場所や構図などを真似てみますが,なかなか希望どおりには出来上がらないのが常です。

紅葉滝の看板

紅葉滝の看板

そんな藤枝さんですが,11月14日の新聞には失敗談と写真愛好家への忠告が書かれていました。「秋の紅葉滝」のタイトルで,釜石市内の滝の中であまり知られていない滝を紹介していましたが,この滝だけは注意が必要であると書いていました。
この紅葉滝は,五葉山の登山口の一つ「楢の木平」から太平洋側の唐丹町に向かって流れる片岸川の上流にあり,地図にも載っていたので,最近探索に通っていた所です。滝は,2段になっており,1段目は大きく,2段目は緩やかに落ちて,下流に静かに流れていきます。ただ,滝までの道路は,土砂が崩れていたり,橋が大雨で流されていたりで一部通行がむずかしいく,途中から車を降り,徒歩で向かわなければなりません。撮影ポイントは,きつい急斜面を下ったところにあります。

新聞に載った翌日の朝早くに,再挑戦してみました。1段目の滝を撮影し,2段目の滝を今までよりさらに近いところで撮影するため,道路脇の急斜面を下りましたが,ちょっとしたところで足が滑ってしまいました。いつもは右手にカメラを持って移動していますが,このときは用心してカメラをポケットに入れていましたので,両手で押さえ大事には至りませんでした。何とか撮影ポイント(第2の滝の真上)に来ました。いざ撮影しようとポケットに手をやると,カメラがなくなっていました。それまでの行動範囲を何度も探してみましたが,見つかりません。先ほど滑った時に,ポケットから抜け落ちたのだと思いますが,黒土に紛れて見えなくなったか,滝つぼに落ちたのかも知れません。

藤枝さんは,新品のデジタルカメラを水没させたとのことで,帰り道はショックで「足取りの重いこと重いとこ」と書いています。まるで五葉山の大きい花崗岩をくくりつけたような足になりました。霊峰五葉山の麓には,何かが住んでいるのかも知れない。

紅葉滝1

1段目の滝

紅葉滝2

2段目の滝

紅葉滝3

紅葉滝の下流の緩やかな流れ

もし,滝の神様が出てきて,「あなたの落としたカメラは,こちらの金のカメラですか。こちらの銀のカメラですか。」と聞かれたら,正直に「○○社の,CCDデジタルビデオカメラです」と答えます。

藤枝さんのホームページはこちらにあります。きれいな写真で一杯です。
http://www15.plala.or.jp/HF-photo/index.html
「釜石便り」2012年11月のリンクには,この記事の撮影のてん末も書かれています。