初夏の五葉山登頂記

 先々週の土曜日の6月1日,釜石サテライトの勇士4人(ほぼ年配者)が五葉山を制覇しました。
 先日の三浦雄一郎氏のエベレスト登頂に続く快挙です。

釜石市教育センターから見た五葉山(左側の高くなだらかな山)

 五葉山は,なだらかな稜線が特徴の山で,釜石市内からも見え,3月まで釜石サテライトがあった釜石市教育センターからが一番よく見えていました(釜石サテライトが平田地区に移転してからは,山や川,空の様子を見ることが少なくなってしまいました。)。
 
 さて,釜石サテライト勇士4人は,日ごろの運動不足の解消,日夜励んだトレーニングの成果検証,買いそろえた道具の活用,山がそこにあるからなど,それぞれの思わくで五葉山に挑戦することになりました。
 

登山口で記念撮影

 登山口は,経験者の推薦で,赤坂峠になりました。
 集合場所の釜石サテライト近辺はやませの霧で寒かったのですが,ここから上は,初夏の晴天でした。
 この赤坂峠コースは,初心者向けの一番短いコースということですが,この言葉が後のち,ハイキング気分で参加した1勇士に悲劇をもたらします。

登山開始

 10時ごろに登山を開始しました。
 さわやかな風とやわらかい日差しが足を軽やかに運んでくれます。しかし,ハイキング気分の1勇士は,ハイペースで先頭を歩き,2合目ですでにバテバテになってしまいました。
 木々の葉っぱもまだ生い茂っていないため,所どころで視野が開け,大船渡湾やふもとの大船渡市日頃市(ひごろいち)町,五葉湖が見渡せました。
 3合目は,「賽の河原」という名前のついている広場で,恐山を思わせる風景です。ここは,花崗岩が風化してマサ(真砂)とよばれる砂状になったところです。

登山口の案内図

登山道入口

まだまだ先は長い

1合目手前の眺め(日頃市町と五葉湖)

賽の河原(3合目)

またまた見晴らしが

4合目からの難所

 4合目から勾配が少しきつくなってきて,ハイキング気分ではなくなってしまいました。
 膝ぐらいの高さの岩を乗り越えなければならないところが多くなり,「よっこらしょ,どっこいしょ」の掛け声や次の標識までの「まだか,まだか」が自然に出てきます。
 「○合目」の標識でその都度一休みしました。
 シャクナゲ荘の赤い屋根が見えると9合目。おいしい湧き水を飲んで,あと1合だけです。

4合目の畳石

10分ほど休憩し5合目へ

5合目の登山道

6合目で一休み

7合目でも一休み

シャクナゲ(7合目)

山ツツジ(7合目)

ヒバ林(8合目)

9合目(赤い屋根はシャクナゲ荘)

さて,頂上

 山頂に近づくと樹林がなくなり,視野が開けます。日枝神社の鳥居が見え,山頂到着と勘違いし,浮かれた勇士達がいました。
 神社の鳥居周辺で休憩している人たちをうらやましがりながら,本当の山頂を目指します。
 15分ぐらいして山頂到着です(記念撮影)。時刻はすでに午後1時になっていました。
 さて,これから戻って日枝神社で休憩するか,日の出岩まで挑戦するか人生の分かれ道でしたが,ここまで来たからには,奇岩霊岩を見ないのはもったいないので,さらに10分進みました。
 原生林をかいくぐって歩くと,まさに「奇岩」が目の前に現れました。
 陰に回ると岩に登れるようになっていました。すると,見晴らしの良いところに出ました。
 遠くの山や海を見ると,気力が戻ってきます。

もうすぐ頂上?

黒岩(日枝神社から)

ここが山頂

山頂の原生林

「日の出岩」出現

日の出岩に登り,元気はつらつ

山頂カメラマン

大船渡湾

遠くに早池峰山

さあ下山

 日の出岩の前でようやく昼食です。おにぎりやサンドイッチ,弁当を,疲れをいやすようにもくもくと食べました。
 下山開始は,1時45分ごろでした。登って来た道を帰ります。
 太ももがケイレンしそうになってきた勇士がでてきました。気遣いながらゆっくり下山しました。
 花崗岩が畳のように敷かれたようになっている4合目に,人目を気にせず草を食べているシカがいました。
 ここからは,緩やかに下っていきますので,もう安心です。
 登山口到着が3時45分でしたので,下山は2時間で済みました。

下山中

シカと遭遇

下山記念

 ハイペースで飛ばした勇士は,その後しばらく筋肉痛がひどかったようです。
 日ごろ運動している者にとっては,登りやすい楽しい山でした。
 またどこか登ってみようと思います。ご一緒しましょう。

紅葉の滝

 釜石に「復興釜石新聞」があります。毎週水曜日と土曜日,市内各戸に無料で配られます。釜石市内のさまざまな出来事や復興関連の記事,文化やスポーツに関する記事が掲載されています。また,町内会長やシーウェーブス関係者のうんちくも掲載されており,ためになる新聞です。

中でも気に入っているのが,「かまいし便り」という写真コーナーで,藤枝さんというプロカメラマンが美しい写真とコメントを寄せています。
藤枝さんは,以前から釜石の写真を撮影していて,東日本大震災の際にも被害のありさまを残し,写真集を出版しています。構図や色使いなど,さすがプロと思わせるすばらしい作品ばかりで,敬意を表さざるを得ません。撮影場所や構図などを真似てみますが,なかなか希望どおりには出来上がらないのが常です。

紅葉滝の看板

紅葉滝の看板

そんな藤枝さんですが,11月14日の新聞には失敗談と写真愛好家への忠告が書かれていました。「秋の紅葉滝」のタイトルで,釜石市内の滝の中であまり知られていない滝を紹介していましたが,この滝だけは注意が必要であると書いていました。
この紅葉滝は,五葉山の登山口の一つ「楢の木平」から太平洋側の唐丹町に向かって流れる片岸川の上流にあり,地図にも載っていたので,最近探索に通っていた所です。滝は,2段になっており,1段目は大きく,2段目は緩やかに落ちて,下流に静かに流れていきます。ただ,滝までの道路は,土砂が崩れていたり,橋が大雨で流されていたりで一部通行がむずかしいく,途中から車を降り,徒歩で向かわなければなりません。撮影ポイントは,きつい急斜面を下ったところにあります。

新聞に載った翌日の朝早くに,再挑戦してみました。1段目の滝を撮影し,2段目の滝を今までよりさらに近いところで撮影するため,道路脇の急斜面を下りましたが,ちょっとしたところで足が滑ってしまいました。いつもは右手にカメラを持って移動していますが,このときは用心してカメラをポケットに入れていましたので,両手で押さえ大事には至りませんでした。何とか撮影ポイント(第2の滝の真上)に来ました。いざ撮影しようとポケットに手をやると,カメラがなくなっていました。それまでの行動範囲を何度も探してみましたが,見つかりません。先ほど滑った時に,ポケットから抜け落ちたのだと思いますが,黒土に紛れて見えなくなったか,滝つぼに落ちたのかも知れません。

藤枝さんは,新品のデジタルカメラを水没させたとのことで,帰り道はショックで「足取りの重いこと重いとこ」と書いています。まるで五葉山の大きい花崗岩をくくりつけたような足になりました。霊峰五葉山の麓には,何かが住んでいるのかも知れない。

紅葉滝1

1段目の滝

紅葉滝2

2段目の滝

紅葉滝3

紅葉滝の下流の緩やかな流れ

もし,滝の神様が出てきて,「あなたの落としたカメラは,こちらの金のカメラですか。こちらの銀のカメラですか。」と聞かれたら,正直に「○○社の,CCDデジタルビデオカメラです」と答えます。

藤枝さんのホームページはこちらにあります。きれいな写真で一杯です。
http://www15.plala.or.jp/HF-photo/index.html
「釜石便り」2012年11月のリンクには,この記事の撮影のてん末も書かれています。