紅葉の滝

 釜石に「復興釜石新聞」があります。毎週水曜日と土曜日,市内各戸に無料で配られます。釜石市内のさまざまな出来事や復興関連の記事,文化やスポーツに関する記事が掲載されています。また,町内会長やシーウェーブス関係者のうんちくも掲載されており,ためになる新聞です。

中でも気に入っているのが,「かまいし便り」という写真コーナーで,藤枝さんというプロカメラマンが美しい写真とコメントを寄せています。
藤枝さんは,以前から釜石の写真を撮影していて,東日本大震災の際にも被害のありさまを残し,写真集を出版しています。構図や色使いなど,さすがプロと思わせるすばらしい作品ばかりで,敬意を表さざるを得ません。撮影場所や構図などを真似てみますが,なかなか希望どおりには出来上がらないのが常です。

紅葉滝の看板

紅葉滝の看板

そんな藤枝さんですが,11月14日の新聞には失敗談と写真愛好家への忠告が書かれていました。「秋の紅葉滝」のタイトルで,釜石市内の滝の中であまり知られていない滝を紹介していましたが,この滝だけは注意が必要であると書いていました。
この紅葉滝は,五葉山の登山口の一つ「楢の木平」から太平洋側の唐丹町に向かって流れる片岸川の上流にあり,地図にも載っていたので,最近探索に通っていた所です。滝は,2段になっており,1段目は大きく,2段目は緩やかに落ちて,下流に静かに流れていきます。ただ,滝までの道路は,土砂が崩れていたり,橋が大雨で流されていたりで一部通行がむずかしいく,途中から車を降り,徒歩で向かわなければなりません。撮影ポイントは,きつい急斜面を下ったところにあります。

新聞に載った翌日の朝早くに,再挑戦してみました。1段目の滝を撮影し,2段目の滝を今までよりさらに近いところで撮影するため,道路脇の急斜面を下りましたが,ちょっとしたところで足が滑ってしまいました。いつもは右手にカメラを持って移動していますが,このときは用心してカメラをポケットに入れていましたので,両手で押さえ大事には至りませんでした。何とか撮影ポイント(第2の滝の真上)に来ました。いざ撮影しようとポケットに手をやると,カメラがなくなっていました。それまでの行動範囲を何度も探してみましたが,見つかりません。先ほど滑った時に,ポケットから抜け落ちたのだと思いますが,黒土に紛れて見えなくなったか,滝つぼに落ちたのかも知れません。

藤枝さんは,新品のデジタルカメラを水没させたとのことで,帰り道はショックで「足取りの重いこと重いとこ」と書いています。まるで五葉山の大きい花崗岩をくくりつけたような足になりました。霊峰五葉山の麓には,何かが住んでいるのかも知れない。

紅葉滝1

1段目の滝

紅葉滝2

2段目の滝

紅葉滝3

紅葉滝の下流の緩やかな流れ

もし,滝の神様が出てきて,「あなたの落としたカメラは,こちらの金のカメラですか。こちらの銀のカメラですか。」と聞かれたら,正直に「○○社の,CCDデジタルビデオカメラです」と答えます。

藤枝さんのホームページはこちらにあります。きれいな写真で一杯です。
http://www15.plala.or.jp/HF-photo/index.html
「釜石便り」2012年11月のリンクには,この記事の撮影のてん末も書かれています。