復興の槌音 part3(湾口防波堤)

 釜石湾の湾口防波堤は,度重なる津波被害から町を守るため計画され,昭和53年から工事が開始されて平成20年度に完成しました。「世界最大水深(64m)の防波堤」として平成22年度にギネスブックに世界記録として認定されました。

 しかし,東北地方太平洋沖地震では想定以上の津波により大きく損壊してしまいました。ただし,津波の高さを軽減したり,到達時間を遅らせたりして,一定の効果はあったといわれています。

 平成24年2月からその復旧工事が始まり,平成28年完成を目指して,進められています。

 湾口防波堤は,南堤と北堤あがり,南堤は,浜から湾に向かって右側で,尾崎半島青出浜の大刀根島の先から,北堤は,湾の左側の鷹の巣崎から伸びており,釜石湾を両手で抱きかかえ,包み込むようになっています。

【被災前の湾口防波堤】

防波堤20100813

2010年08月13日(釜石大観音展望台から撮影)

【被災後の湾口防波堤】

防波堤20120103

2012年01月03日(南堤は半分ほどですが,北堤はほとんど損壊しました。)

【工事の概要】

 工事は,4種類に分けられます。
(1)被災したケーソンを破壊し,撤去します。
(2)基礎のマウンドを制作します。
(3)新しいケーソンを据え付けます。
(4)ケーソンの上部にコンクリートを打設します。

 【工事中の湾口防波堤】

防波堤20120718

2012年07月18日(南堤,北堤ともに,被災したケーソンの破壊・撤去を行っています)

防波堤20121016

2012年10月16日(いろいろな作業船が,湾口に集まっています。)

 南堤は,被災したケーソンの破壊・撤去作業が10月末で終了の予定です。これから,海底の整備と新しいケーソンの据え付けが行われ,新しいケーソンの頭が海上に出てきます。
 北堤は,ケーソンの撤去と平行して,築造が行われます。
 泉地区(写真の左の外にある)では新しいケーソンが作成されています。

防波堤20121114

2012年11月14日(海底内の作業のため,状況がよく分からない写真で申し訳ありません。)

防波堤20121211

2012年12月11日(作業船の位置が毎日変わります。)

夜の作業船20121109

作業中でしょうか,夜も灯りが点いています。

夕暮れの泉地区

夕暮れの泉地区(ケーソンを作っています。手前がケーソン製作用作業台船)

朝の湾口20121116

朝の湾口

【作業船】

巨大な砕岩船

公共埠頭に停泊中の巨大な砕岩船(砕岩棒を落として被災ケーソンを破壊します)

グラブ浚渫船

平田湾に停泊中のグラブ浚渫船(海底の土砂をつかみ揚げて築造します)

【参考ページ】

釜石市「躍動する釜石港!!」(リンク「湾口防波堤」も)
http://www.city.kamaishi.iwate.jp/index.cfm/7,13903,38,229,html
岩手県「岩手県内重要港湾の復旧・復興方針について」
http://www.pref.iwate.jp/view.rbz?cd=34010
国土交通省東北地方整備局釜石港湾事務所「釜石港湾口防波堤」
http://www.pa.thr.mlit.go.jp/kamaishi/port/km04.html
(独)港湾空港技術研究所「釜石港における津波による被災過程を検証」
http://www.pari.go.jp/info/tohoku-eq/20110401.html
一般社団法人日本作業船協会「作業船の種類」
http://www.s-jwa.or.jp/workvessels/index.html