海の見える町 その2「雪の来るとき」

小説「若い詩人の肖像」の第2節「雪の来るとき」は,主人公伊藤整が汽車通学で知り会った少女とのロマンスや,誌や文学,「black」が何回も続けて出てくる外国人教師による英語の話などが書かれていて,面白く読み進みました。
蘭島は,少女の住む余市と主人公の住んでいる塩谷との間にあります。夏に知り合った二人は蘭島の海岸に並んで座り,遠く水平線に漂う汽船を眺めながら一時を過ごしました。しかし,冬の季節になってから,二人は待ち合わせる場所や一緒に歩く場所がなくなり,ほとんど分かれてしまった形になります。街はどこも雪に埋もれ,山も公園も,道路の外に立ち止まる場所がなくなりました。

JR松倉駅

JR松倉駅(風情は以前と変わらない)

当時の釜石南高等学校は,山田町や大槌町,鵜住居町などの沿岸部や,大橋,遠野などの内陸部から優秀な生徒が入学しており,汽車で通学する生徒もいました。山田線からの汽車は,南高生のために学校近くの松倉駅まで運行していました。普段は自転車通学だったのですが,雪の時期だけは小佐野駅からのたった一駅を,主人公を真似て汽車通学しました。私にとって,山田や大槌は,余市や塩谷でした。

その後,海の見える町「小樽」には出張のたびに合間を利用し何度か訪れましたが,小樽駅周辺を歩いただけでした。昨年2月下旬の出張の際に北海道の知人に依頼し,小樽の町を案内してもらうことにしました。小樽の町は,雪で輝く運河やガラス細工工場,オルゴール店などの見物客であふれ,にぎやかで活気がありました。

冬の小樽(天狗山展望台から)

冬の小樽(天狗山展望台から)

ロープウェーで登る天狗山の山頂展望台からは,案内してくれた知人のように優しく穏やかな海が眼下に広がりました。どれほどあこがれたであろう小樽の町と海でした。

 岩手県立釜石高等学校

現在の釜石高等学校

現在の釜石高等学校

 母校の岩手県立釜石南高等学校は,昭和24年4月に旧制高校3校の統合により設立された釜石高等学校が母体です。団塊の世代の生徒数の増加から昭和38年4月,釜石北高等学校の増設に伴い校名を「釜石南高等学校」に改称されました。その後の少子化で平成20年度に釜石北高等学校と統合され,校名がもとの「釜石高等学校」に戻りました。校歌や応援歌も,昭和24年時代のものが引き継がれています。
釜石高等学校ホームページ→http://www2.iwate-ed.jp/kas-h/

札幌ドーム展望台

札幌ドーム展望台