第4回かまいし仙人峠マラソン

 10月27日(日)に,第4回釜石仙人峠マラソンがあり,開会式をのぞいてみました。
 今年のゲストランナーは,東国原さんです。
 釜石市長から挨拶があり,ここ大橋が日本近代製鐵の発祥の地であること,仙人峠が「いとさかしき峠」(さかしい=険しい)であることの紹介があり,走者の健闘を祈りました。
 ゲストランナーの東国原さんは,前日下見したら,予想以上に高低差が激しい走路にびっくりして「箱根マラソンは,テレビで見るものであって,参加するものではありませんが,参加した以上は何とか完走を目指します。」と意気込みを語っていました。

 スタートは,台風一過の秋晴れの中で行われました。

開会式(釜石市長挨拶)

開会式(釜石市長挨拶)

紅葉の下で挨拶する東国原さん

紅葉の下で挨拶する東国原さん

開会式会場(キッチンカーもお出まし)

開会式会場(キッチンカーもお出まし)

峠コースの第二折り返し点(仙人トンネル入口)

峠コースの第二折り返し点(仙人トンネル入口)

箱根峠の電波塔

釜石市内から見える西側の山々

釜石市内から見える西側の山々

釜石の西側には,北上山地の山々が立ちふさがり,昔から藩城下や県中央部との行き来の障壁になっていました。

近世までは仙人峠が主な交通路で,釜石には最短のコースでしたが,峠は急坂で約4km3時間ほどかかり,徒歩や駕籠(かご)で峠越えしていました。
自動車による往来は,大正13年から笛吹峠(なだらかなでカーブが多い)で開始し,戦後の昭和23年からは遠野・釜石間のバスが運行されました。
昭和34年9月12日,ついに仙人トンネルが開通し,自動車で峠越えができるようになりました。そして平成19年3月19日に自動車専用道路「仙人峠道路」が開通し,山越えがなくなりました。

放送の時代になってもこれらの山々は障壁でした。

箱根山の電波塔群

箱根山の電波塔群

釜石でのテレビ放送は,昭和35年9月1日からのようですが,そのための電波塔が山の上に建てられました。
場所は,仙人峠の南にある箱根峠の少し北側の通称「箱根山」の頂上で,新仙人トンネルが真下を通っています。
電波塔は,小学校の登校時によく目にしたものでした。くっきりと見える雲一つ無い冬の晴れた朝は,五葉おろしが吹き,釜石でも手袋や耳かけが必要でした。
当時よく見た番組は,ちろりん村とクルミの木,ものしり博士(「ケペル先生!今日は」「やあ,今日は。何でも考えかんでも知って,何でもかんでもやってみよう。さて今日はー」で始まる),みんなの歌,ふしぎな少年(時間よ止まれ!)などでした。

電波塔が市内から見ることができるので,電波塔からは市内が一望できます。

箱根峠からの釜石市内

箱根峠からの釜石市内

箱根峠は,釜石市大松から住田町上有住に通じる県道157号(冬期通行止め)が通っている峠で,鞍部に愛染山登山口があります。昭和15年に開通した「釜石-水沢間組合道路」の一部のようです。

宮古渓谷

宮古渓谷(盛岡市梁川付近)

盛岡市梁川付近

 宮古街道(国道106号線)は,盛岡市東側の梁川(やながわ)地区で一気に300m上り,トンネルをくぐりぬけると,区界(くざかい)からは緩やかな下りが続きます。
 区界は,もともとは下閉伊郡川井村の1地域でしたが,平成22年の宮古市との合併により,宮古市の一部となったところです。

宮古渓谷(早池峰山1)

区界峠から見る早池峰山

 
 

 区界では,天気が良ければ霊峰「早池峰山」の雄姿が見られます。
 

 

 

 
宮古渓谷(深い谷)
 宮古街道は,閉伊川(へいがわ)に沿って下ってゆきますが,JR山田線松草駅を過ぎた当たりから,徐々に山が迫り,谷が深くなってきます。まるで,釜石街道の仙人峠を下ったところに似た光景です。
 
 

宮古渓谷(木の博物館看板)

木の博物館の看板


 

 大峠トンネルを出てすぐの休憩所に,「かわい 木の博物館-ウッディーミュージアム」の看板があります。

宮古渓谷(大峠ダム)

大峠ダム

 

 

 車を降りて少し歩くと,大峠ダムの瀑布が見えます(歩道がないので通行には十分注意しましょう。)。
 

  

 看板の地図に沿って遊歩道を歩いて行くと,水面が穏やかなダム湖があります。

宮古渓谷(大峠ダム2) 宮古渓谷(大峠ダム湖1)
宮古渓谷(大峠ダム湖2) 宮古渓谷(大峠ダム湖3)

 宮古街道は,「宮古渓谷」と名付けたくなるような風景が広がります。

 

今日の仙人峠part3


岩手県は,内陸部でも紅葉が進んできました。
今日の仙人峠は,どうなっているのでしょうか。 週初めに気温が下がりましたので,だいぶ見ごろになっているのではないでしょうか。

それでは,また,遠野側の仙人トンネル入り口周辺から,御案内します。
(part2は,こちら→10/28今日の仙人峠part2
(part1は,こちら→10/25今日の仙人峠
片岩片岩です。モミジが色づいてます。
これは石灰岩でできた岩壁で,夏場は周辺の葉が生い茂り,全体を見ることができません。葉の落ちる今の時期から全体が見られるようになります。
位置的に,山裏の「滝観洞(ろうかんどう)」と岩がつながっているかも知れません。
片岩の涙のあと
片岩の涙
岩肌に縦の模様が入っていました。長い年月で地下水が岩を浸食し,小さな鍾乳洞になり,昨夜の雨が地中にしみ込んで洞穴から流れ出て岩肌を濡らしたのではないかと思います(片岩だけに,片思いしている人達の涙か)。

カラマツ林の紅葉カラマツ林の紅葉
カラマツは,マツとはいえ,紅葉し,葉を落とします。
街道脇に植えられているカラマツの紅葉を遠くから見ると,ローソクの炎のように見えます。

仙人トンネル入り口

 

 

仙人トンネル入り口
part1より葉が少なくなりました。右の建物は休憩所(トイレ)です。

仙人峠登り口
仙人峠入り口
休憩所の脇の杭は,「仙人峠登り口」の標識で,中央の鞍部を越えて,大橋の出口に至ります。

 

長いトンネルを抜けるとそこは…
仙人トンネルの釜石側入口です。道なりに,一気に下っていきます。

トンネル出口

トンネル出口

トンネル釜石側

トンネル釜石側付近

蟹が岳ふもと

蟹が岳ふもと

仙人大橋

仙人大橋を見る

仙人大橋から渓谷を見る

仙人大橋から渓谷を見る

仙人大橋をくぐる

仙人大橋をくぐる

スピードが出すぎたら待避所へ

ブレーキが故障したら緊急待避所へ

峠道終わり

峠道が終わり,大橋の町に入ります

大橋の下の橋

大橋町の「下の橋」(上の橋,中の橋もあります)

大橋の「仙人峠登り口」

陸中大橋駅前の鉄鉱石の展示と「仙人峠登り口(橋の下の道)」とここにも柿の木

仙人道路の洞泉橋

仙人道路の洞泉(どうせん)橋をくぐる

大畑付近

大畑(おおはた)付近の山も紅葉してきました

今日の仙人峠でした。いかがでしたか。葉が少なくなると,山肌や山の形が見えてきます。
次は,蟹が岳が雪景色になったら掲載します。

 

今日の仙人峠part2

20121028ポスター
第3回かまいし仙人峠マラソン大会
今日(10月28日(日))は,第3回かまいし仙人峠マラソン大会の日です。
猫ひろしさんに会えるでしょうか?
そして,紅葉はどうなっているでしょうか?

会場へはJR釜石線で
会場への移動は,教育センターからの路線バスも考えましたが,交通規制で途中までしか行かないので,会場近くまで行けるJR釜石線を利用することにしました。釜石線の列車は久しぶり(35年ぶり?)の乗車です。釜石→小佐野→松倉→洞泉→陸中大橋の21分の旅です。ガタゴトと鳴るレトロな音に以前のように眠気を誘われ,停車音に気づいて慌てて駆け降りると,一つ手前の洞泉駅でした。

JR釜石線
JR釜石駅
陸中大橋駅
陸中大橋駅

大橋の町
大橋の町は,以前は釜石鉱山の社宅などがあり,6000人もの住民が住んでいた賑やかな町で,同級生の何人かもここに住んでいました。しかし,今は社宅も取り壊され,ほとんどが空き地になっています。

釜石鉱山概略図
釜石鉱山概略図
駐車場となった社宅跡地
駐車場となった社宅跡地
スタート前のウォーミングアップ
スタート前のウォーミングアップ
紅葉してきました
紅葉してきました

マラソン大会と今日の仙人峠
大会の種目は,峠コース(17.2km)と10kmコースがあり,まず10時15分に峠コースがスタートし,10分後の10時20分に10kmコースがスタートしました。
応援を兼ね,紅葉を見ながら折り返し点の仙人トンネル入り口に向かいました。徒歩とはいえ急坂のため,仙人大橋の下で体力が尽き,折り返しました(往復4km,標高差100mを歩きました)。
選手は,さらに150mほど上の仙人トンネル入り口で折り返しです。

スタート
峠コーススタート
(猫ひろしさんはどこでしょう)
たくさんの人が応援しています
たくさんの人が応援しています
紅葉を見ながら上へ向かいます
紅葉を見ながら上へ向かいます
標高差300mを一気に下ります
帰路は標高差300mを一気に下ります
仙人大橋
ここで体力尽きる
物産市
物産展
(山菜そばをいただきました。)

トークショーついにゲストランナー登場
競技終了後,雨脚が強くなってきました。雨の中,12時40分ごろからゲストランナーのトークショーがあり,ついに猫ひろしさんを見ることができました。
ぶっつけ本番で走ったので,予想以上にきつかったそうです。また,『猫八がんばれ』という声援があったけど「猫ひろし」だよと,笑って言っていました。

ランナーの話
帰りは,すぐ来る列車がなかったので,路線バスに乗ることにしました。30分ほど待つ間バス停近くの廃屋で雨宿りをしていると,地元の人のような背の低い年配者が雨宿りに来ました。町で買い物ですかと声をかけましたが,耳が遠いせいか質問と異なる答えが返ってきたようで,よく聞き取れなかった(こっちも少し耳が遠くなってきたけれど)。耳を澄ませてよく聞いてみると,なんと年齢76歳で,10kmコースに出場し,84歳(出場者最高齢)の人と一緒に走った,来週もどこかの大会に出ると,うれしそうに話していました。びっくり!!
また一人,列車の便数が少ない,バスもなかなか来ないと文句を言っている人にも話を聞いたところ,神奈川県から来て,昨年も出場し,今年はいい成績だった,このコースはおもしろいのでまた来年も来たいと,こちらも楽しそうに話していました。バスを降りるときに「来年もがんばってください」と声をかけ分かれました。

釜石鉱山展示室(旧釜石鉱山事務所)
マラソン大会に合わせて,釜石鉱山展示室の2階を公開していました。普段は閉館しているので,のぞいてみました。
「鉱山の学校」には宮沢賢治や石川啄木などの鉱山に関係する文学作品等が展示されていました。奥の「鉱山の鉱物室」に鉄鉱石などの資料や地質図が展示されており,興味が尽きませんでした。
釜石鉱山展示室については,釜石市郷土資料館のホームページで詳しく紹介しています。
釜石市郷土資料館で販売している「大橋高炉跡・釜石鉱山(釜石鉱山事務所解説パンフレット,300円)」も参考にするとおもしろい。

釜石鉱山展示室(旧釜石鉱山事務所)
釜石鉱山展示室(旧釜石鉱山事務所)
鉱山の学校(宮沢賢治や石川啄木の資料)
鉱山の学校
鉱山の鉱物室
鉱山の鉱物室
鉱山の電話交換室
鉱山の電話交換室
鉄鉱石選鉱場あと
鉄鉱石選鉱場あと(コンクリートの壁)
中ノ沢堆積場
中ノ沢堆積場

仙人峠と天狗森
ちょうど40年前,高校3年生の時に自転車で大橋の町に遊びに来たとき,同級生に仙人大橋まで案内してもらいました。橋の真ん中に来たときに山の方を見ながらその同級生は,この山の裏に「天狗森」という山があると言っていました。そのときは興味がなかったので,ただ「ふーん」と言っただけでしたが,その後気になり出し,いろいろな地図を見ましたがどれにもありませんでした。
しかし今日,釜石鉱山展示室に展示されていた古い地質図を見ると,確かに「天狗森」という文字がありました。この体力ではもう無理なほど深い山奥にあることがわかりましたが,40年来の謎が解けた日でした。
それにしても,仙人がいたり,天狗が住んでいたり,おもしろい町です。